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『秋』(あき)は、芥川龍之介の短編小説。芥川が初めて試みた近代心理小説である。幼馴染の従兄をめぐる姉と妹の三角関係の愛と葛藤の物語。恋する人を妹に譲った姉の視点を軸にしながら、内に秘めた三者の揺れ動く微妙な心理が高雅な趣で表現されている。 1920年(大正9年)、雑誌『中央公論』4月号に掲載され、翌年1921年(大正10年)3月14日に新潮社より刊行の『夜来の花』に収録された。 == 作品背景 == 芥川龍之介は自然主義と対峙し、芸術によってこれを止揚しようとする芸術至上主義の立場から『地獄変』などを著していた。だが、同じような作品を書き続けている自身の作風に停滞を感じた芥川は、「芸術家が退歩する時、常に一種の自動作用が始まる」という考えのもと〔芥川龍之介「芸術その他」(新潮 1919年11月号に掲載)〕、歴史的な題材から、自身の境遇を対象化することを含めた、現実や日常性を対象化した現代小説への転換を図った〔三好行雄「作品解説」(文庫版『杜子春・南京の基督』)(角川文庫、1968年。改版1977年)〕。近代心理小説『秋』はその最初の作品とされている〔。 『秋』における作風の転換について、芥川は作品の公開前に南部修太郎に不安を打ち明ける手紙を送り、作品発表し好評を得た後は、「実際僕は一つの難関を透過したよ。これからは悟後の修行だ」と、自らの作風に安堵と自信を示す手紙を送った〔芥川龍之介「南部修太郎への書簡」(大正9年4月13日付)〕。また、滝井孝作には、「『秋』は大して悪くなささうだ。案ずるよりうむが易かつたといふ気がする。僕はだんだんああいふ傾向の小説を書くようになりさうだ」と書き送っている〔芥川龍之介「滝井孝作への書簡」(大正9年4月9日付)〕。 なお、芥川の初恋で幼友達であった吉田弥生(青山学院英文科卒業の才媛)との交際の破局が5年前にあったことが、作品のモチーフの一端にあるのではないかという考察もある〔小澤保博「芥川龍之介『秋』を読む」(琉球大学教育学部紀要、2006年9月)〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「秋 (芥川龍之介)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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